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学校だより

高1東京研修 3日目

最終日は、33K伊東さんがCEOをされている株式会社アドダイスの研究所「SoLoMoN Labo」訪問→東京駅で自由時間→新幹線で広島に帰る というスケジュールです。

お世話になったホテルのスタッフさんにお礼を言って、ホテルを後にしました。いつかまたこのホテルに泊まるときがあるかもしれませんね。

SoLoMon Labo訪問

SoLoMon Laboは秋葉原からほど近いビルの3階にあります。ものづくりに用いるセンサーや特殊な工具を売っているお店が秋葉原に多いからだそうです。株式会社アドダイスはベンチャー企業で、その社名は、冒険(Adventure)の「アド」と、古代ローマの政治家・武将ジュリアス・シーザーの言葉「賽は投げられた(Dice is cast)」の「ダイス」を合体させて名付けられました。このシーザーの言葉は、元老院に反旗を翻してルビコン川を超えて進軍するときの言葉と言われています。その心は、「前進あるのみ」。後戻りせず進め!という意思を込めた言葉です。「アドダイス」という社名には「テクノロジーで前に進み、冒険して、新しい世界に踏み込んで行く」という思いが込められているそうです(アドダイスHPより抜粋)。

伊東さんは高校生の頃から「社会を変えたい」という思いがあって社会の制度を作るために東大法学部に行ったものの、すでに日本の社会の制度はある程度できていることに気がつき、「小さいところから日本の将来を作ろう、世界を変えてやろう」と考えベンチャー企業を立ち上げました。

現在の主な事業内容は、人工知能(AI)を用いたシステムの開発・提供です。アドダイスの会社コンセプトは「自律神経を作る」です。現代は、人間が生まれたままの状態で自然に生きるということが難しく(高齢化、地球温暖化などの要因により)、人工的に状態を制御しなければならない時代です。アドダイスでは、状況にあわせて自ら再学習をする「自律型AI」の技術を開発し、さまざまな事業を行っています。例として、

・養蜂業AI:蜂は元気がなくなると全滅してしまうので、10〜15分おきにデータを送信し管理している

・電車のレールの融雪機AI:気象データから現場の温度をAIで推測し、最適な制御を行う

・病理検査AI:画像から見落としがちな癌などを検知したり、癌の予兆をキャッチしたりする

・ウェアラブル時計:在宅で健康を管理したり、心身の病気の予兆を推測したりする

などの事業を紹介してくださいました。

ご説明の後は、66Kからたくさんの質問が挙がりました。一部ご紹介します。


・自分で企業するということは失敗する可能性があると思うが、怖くなかったのか? →人に雇われたことがないから怖さがわからないのかもしれない。また、一度きりの人生なのだから失敗を恐れずやってみようというスタンスを持っている。

・今からAI分野に新しく参入する余地はあるか? →あると思う。例えば、芋虫は脳のニューロンが4つ程度しかないが複雑な動きをすることができる。AIによる人工の脳で同じことをやろうとすると、ニューロンからニューロンへの情報伝達の際に高温になり焦げてしまう。このような未解決の問題がまだまだたくさんある。

・現在AI関連企業がたくさんあって、AIで何をするかは会社によって個性が出ると思うが、どのように他と差別化を図っているか? →ユーザーエクスペリエンスを重視し、「使いやすい」という点で差別化を図っている。

・お話を聞いていて、大学は法学部で今はAIという理数系のことをやっていて、見聞が広いと感じた。どのように広がっていったのか? →関心を持ったら、本屋さんのそのコーナーの本を全部読んだりして調べ尽くすからだと思う。また、その分野に詳しい人と会うのも効果的である。色々な人に会って話をすると、それぞれの人に蓄積された知見が自分の中にも流れ込んでくるように感じる(実際、ミラーニューロンの研究でそのようなことがあるとわかっているそう)。

・進学や就職は試験をパスするというプロセスがあるが、スタートアップを立ち上げるためには何をすればいいのか? →現在だと、アクセラレータやインキュベーターといったスタートアップ支援の組織でインターンやアルバイトをして、様々なスタートアップのアイデアなどを間近で見て学ぶといいと思う。

・AIで様々なビジネスをされているが、社会のどの分野に最も関心があるのか? →自分もそうだが、何かに夢中になると生活が疎かになってしまう人がいる。そうした人の普段の生活を勝手に整えてくれて、裏で支えるようなシステムを作ることに非常に関心がある。

・最終的なAIの完成形は? →完成形はないと思っている。なぜなら、人工物はどんどん増えながら進化しているから。例えば、蟻を見るとき、俯瞰すれば蟻塚とセットだし、蜂も蜂の巣とセットで見られる。同様に、人間も俯瞰すれば「人工物の中にいる人間」として見られる。だから、知性を含めた道具としてAIは進化し続けるだろう。

・もしAIが感情を持って、例えばプラスチックの肉体を持っていたとしたら、人権を与えていいか? →感情というのは、ホルモンと腸内細菌が作用しあって有機的に作られるものである。AIの中にもそうした仕組みがあって感情を持っているのなら、知性体と言えるので、人権を与えていいと自分は思う。


具体的でありつつ壮大な、わくわくするようなお話を聞くことができて大変刺激を受けたと思います。伊東さん、ありがとうございました。

このオフィスから世界を変えるお仕事をしています

SoloMon Laboを後にして、東京駅周辺でめいめい自由にご飯を食べたりお土産を買ったり散策したりした後、新幹線で帰広しました。

今回の研修では、東大1年生・東大3年生・国家公務員・大手外資系企業社員・ベンチャー企業社長といった様々な立場でご活躍されている学院OBの方々にお会いし、交流することができました。彼らの言葉に共通項を見出したり、あるいは人によって考え方が違うと気づいたりしたと思います。研修は今日で終わりですが、ここからが始まりであるといえます。たくさんの刺激を受けて、自分はどういう人間になりたいのか、この先どのように進んでいけばいいのか、今感じていることを忘れないうちに記録に残し、今後に役立ててもらえれば幸いです。