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講話

3学期始業式

 明けましておめでとうございます。
 今年は寅年。動物の虎は、勇猛果敢で周囲を見渡す能力に長けており、決断力と才知の象徴と言われているそうです。そんな虎にあやかり、まだ当分コロナ禍は続くかもしれませんが、それでも力強く確実に歩みを進める1年になればと思います。
 コロナについては、オミクロン株の感染が急激に広がり、1カ月近く県内での新規の感染者がいなかった2学期の終業式の頃とは、状況が一変しました。今のところ、オミクロン株は、感染しても風邪のような症状で済む人が多いといわれていますが、後遺症がどうなるかなど、リスクについてはっきりとしたことは分かっていません。引き続き、マスクの着用や換気、手洗い、黙食など、感染対策の徹底を心掛けてください。詳しいことについてはこの後、生徒指導部長から話があります。

 さて、コロナの感染が国内で広がり始めて2年ほどになります。この2年、日頃の生活の中で、それまでと随分変わった点がいくつもあります。その1つが、「対面」に代わる「オンライン」の活用です。一部の企業や業種では自宅でのリモートワークが進み、人混みの中を通勤したり人と直接関わったりすることのない働き方が導入されました。学校でも必要な時には、オンラインで授業や課題が配信されるようになりました。また私自身も外部の方との会議の多くがリモートで行われるようになり、外に出かけることはほとんどなくなりました。この正月にはオンラインでの同窓会に招かれ、遠方に住む卒業生とも久ぶりに楽しく話ができました。
 このように、オンラインでのコミュニケーションにはそれなりの便利さや良さがありますが、一方で対面でないとなかなか得られないものもあります。その1つが「共感力」だとある書物にありました。
 共感力とは「他者の意見や考え、喜怒哀楽などの感情を、自分も全く同じように感じたり理解したりする能力」のことです。周りの人と信頼関係を築き、良好なコミュニケーションをとる上で大変重要なもので、私たちは共感力をしっかりと身につけたいものですが、その書物によると、人間は対面で触れ合うことで、共感力を育む脳の機能がオンになるとのことです。
 少し調べてみると、人間が他者の行動の内容や意図を即時に理解できるのは「ミラーニューロン」という脳の神経細胞の働きによるのだそうです。この神経細胞は、人の行動を見て、同じ行動をとっている自分自身が鏡に映っているような反応をするということで、ミラーニューロンと名付けられたとのことです。そして一説によれば、共感力を司っており、スクリーンやモニターなどの画面の中の人ではなく、目の前にいる人の行動に対してより強く応答するのだそうです。
 このことに限らず、一般にオンラインと対面とでは、脳の反応はかなり異なるのではないでしょうか。

 学校には色々な生徒がいて、互いに繋がりを持とうとする中で、時に衝突することもあります。だけど考え方が違っていても、或いは迷惑をかけたりかけられたりしても、それはお互いさまです。互いに受け入れ、受け入れられる体験を通して大切なことを学ぶ、広島学院はそのような人と人、仲間同士の触れ合いがその中心にある学校でありたいものです。
 学校のICT化は、もともとコロナとは関係なく進んでいく流れにありました。今後、状況に応じた対面とオンラインの併用が、ますます進んでいくのかもしれません。ただあまりオンラインばかりに偏ると、失うものも大きいと思います。
 今年もコロナ対策を十分に取りながらということになりますが、できるだけ対面での活動を大切にし、そこから多くを学ぶ一年になればと思います。

 最後に、この場を借りて高3の生徒に一言話します。
 61期生は、高2、高3の2年間、コロナ禍で何かと制約がある困難な中で、学校行事を立派にやり遂げ、そして勉強にも一生懸命に励んできました。やるべきことをきちんとやってきたと思います。あと4日で大学入学共通テストですが、やってきたことを自信にして、強い気持ちで臨んでください。そして、共通テスト後も、まだまだ勉強をすればしただけ必ず力は伸びますですから、しっかりと目標を持ち、それに向かって最後まで粘り強く地道に努力を続けてください。
 皆さんの健闘を心から祈っています。