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講話

3学期始業式

明けましておめでとうございます。
 大雪で大混乱した2学期の終業式から3週間、みんなそれぞれに良い冬休みを過ごしてくれたことと思います。

 私が中学、高校の頃、年末は大掃除や片付けで慌ただしく時間が過ぎていき、大晦日の晩になってようやくのんびりと紅白を見て、ゆく年くる年を見て、新年を迎えるという家庭が多かった。私も長年そんなふうに過ごしてきましたが、今年はちょっと変えて、紅白は見ずに、教育テレビでベートーベンの第九を聞きました。感動しました。
 この第九で「歓喜の歌」と呼ばれる有名なメロディーは、多分誰でも知っているでしょうが、この曲を最初から聴くと、その聴いたことのある旋律が出てくるまで50分近くもかかります。好きな人はいいけど、そうでない人にとっては、じっと聴いているのはかなり苦痛でしょう。私も、初めて聴いたのは高校生のときでしたが、本当に退屈だった。だけど、その後何度か聴いているうちに、だんだんとこの曲を味わう力が付いてきたのでしょう。少しずつ心に響く部分が増えていきました。約70分の曲ですが、壮大なドラマが展開され、今ではいつ聴いても時間がたつのを忘れてしまいます。

 みんなも、いつ聴いても心に響く、何回見ても、あるいは何度読んでも感動する、そんな芸術作品に出会ってもらいたい。それは自分で探さなければならないし、見つかるまで時間がかかるかもしれませんが、心に栄養を与えてくれる大切なものだと思います。

 ところで、この休みに読んだある世界的に有名な理系の大学の話ですが、学生には、当然、科学技術の最先端を教える。だけどその学生が社会に出る頃にはもうそれは最先端ではないので、また新しい技術を今度は自分自身で学ばなければならなくなる。だから学校で本当に大事なことは、最先端の技術を教えることではなく、社会に出てからも自分で新しいことを学び、吸収できるような力を、学生のときに育てることだ。そんな内容のことが書かれていました。ここでは新しい科学技術の話になっていますが、それも含めて、私たちは、他者のために他者とともにという、より良い生き方を求めるために、将来必要なことを自分で学び、吸収する力を養わなければなりません。
 そのためには、知識や学力も必要だけど、例えば精神力も鍛えなければならにし、体力もあった方がいい。そして、さっき言った芸術に触れて心に栄養を与えることも大切でしょう。実際この大学では、そういう意味で芸術の授業にもすごく力を入れているそうです。

 みんなも同じで、何でも広く学んでもらいたいし、また実際に色々なことを学ぶ機会がこの学校の中で与えられています。君たちは、その機会を無駄にせず、積極的に利用しなければならない。それが、将来必要なことを自ら学び、吸収する力を養うための第一歩です。そんな気持ちで、またこの一年、授業に、クラブに、その他学校生活に、しっかりと取り組んでもらいたい。期待しています。

 最後に、高3の生徒に一言。センター試験まであと10日足らずということで、一生懸命に準備をしている毎日だと思います。まだまだこれからも、勉強しただけ力は伸びるはずですから、最後までしっかりとやってください。心から健闘を祈っています。

 では、今日からまた新たな気持ちで、新しい年の学校生活を始めましょう。