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講話

9月13日 朝礼

 おはようございます。
 広島県に発令されていた緊急事態宣言は、延長されることになりました。まだ当分の間、放課後の自主練や遊びは禁止、部活動も大会を控えているクラブ以外は原則中止とします。マスク着用の徹底も引き続きしっかりと守ってください。

 今学期に入ってから、緊急事態宣言発令中ということもあって、本人は元気でもご家族に発熱や体調不良の方がいる生徒は、学校を休んでもらい、公認欠席としています。そして科目によっては授業をライブ配信し、公認欠席でも元気な生徒には、家でそれを見てもらえるようにしています。
 ただ、50分間集中して小さな画面を見ながらオンラインの授業を受けるのは、相当疲れるでしょうし、そんな授業が1日に5時間も6時間もあると、本当に大変です。経験した生徒は、できることなら学校で受けたいと思うでしょう。また、授業は、教室やグランドなど授業をしている空間にいる生徒と先生が、やり取りをしながら一緒に作り上げていくものです。だから、どうしてもオンラインでは無理のある授業もあります。オンライン授業には、受ける方にも配信する方にも限界があるということを、よく分かっておいてもらいたいと思います。

 さて、最近「レジリエンス」という言葉を何度か耳にしました。これについて話をしたいと思います。
 レジリエンスは「回復力」や「復元力」を意味する単語です。もともとは物理学の用語だそうですが、近年は、「人間の持つ心の回復力」とか「試練や逆境に負けず、それを前向きなパワーに変える力」といった意味で使われるようになりました。困難な状況に陥ったときに、すぐにもう駄目だという気持ちになって先に進めなくなる人と、なにくそという思いで立ち直る人の違いが、レジリエンスの違いです。レジリエンスが高いとは、困難な状況を乗り越える「しなやかな強さ」を持っているということです。例えば、ある物質は、外的な力をかなり加えて大きなひずみが生じても、また元の形に戻るしなやかな強さを持っている、そのしなやかさのイメージです。
 今の時代は、様々な要因により、社会の変化のスピードが速く、想定外のことも多く起こり、先の見通せない不安があります。一方で、今の時代を生きる私たちは、困難に直面したときにすぐに心が折れそうになり、その困難を克服しようという意欲が乏しくなっていると言われています。何でも便利になり、我慢することが苦手になっている、そんなことも背景にあるのかもしれません。ますますレジリエンスが求められる時代だということです。

 このレジリエンスについて、京都大学の山中伸弥教授がある講演会で高校生に語っておられることを、少し紹介しておきます。山中教授によると、レジリエンスは生まれつきのものではなく、トレーニングによって身につけることができ、鍛えることができるものだそうです。そして、そのために2つのことを勧めておられます。
 1つは、失敗を恐れず、色々な活動にチャレンジしなさい。そして大いに失敗をしなさいということです。中学生や高校生のうちに失敗をたくさん経験して、失敗に対する抵抗力や適応力をつけておく必要があり、そういう意味で、中高生にとってチャレンジは失敗の練習であるとも仰っています。失敗して一時落ち込んでも、気を取り直してまた次のチャレンジに向かうことによって、レジリエンスは鍛えられるのだそうです。失敗を恐れずチャレンジを続けなさいということを、みんなは今まで何度も聞いているでしょうが、あらためて心に留めておいてもらいたいと思います。
 そしてもう1つは、いつも感謝を心掛けなさいということです。周りに感謝をすることが、レジリエンスを身につける秘訣であると、山中教授は恩師から教えられたそうです。感謝とレジリエンスがどう関係しているのかについて、講演会では何も語っておられませんが、感謝をすることとしなやかな心を保つことは、強く結びついていると私も思います。感謝するべき場面は、誰にでも毎日たくさんあるでしょう。感謝の気持ちも忘れないようにしたいと思います。
 今朝の話は以上です。